【梨の樹?】
 その樹の花は白く、一つ一つは小さいものだった。村のある人は梨だと言ったが、日本の梨の花とは大きく異なるので、中国梨やマメナシの種類かと思い、後に調べてみるがそれとも違う。
ナンジャモンジャの花  
 あれから2年。春の訪れと共に、日本国内の色々な花の写真が新聞紙面を飾る中にその花に良く似たものがあった。他で詳しく調べてみれば、おそらく間違いない。
 その木の名は 「ヒトツバタゴ」。 別名「ナンジャモンジャノキ」と言われ、中国福建省原産。中国、台湾、朝鮮半島、国内では長崎県対馬、岐阜県東濃、愛知県、長野県の一部にも自生。モクセイ科ですが香りはほとんどありません。
 ナンジャモンジャとは関東地方では見られない種類の大木を指していう名称で、(人の手により持ち込まれたのでしょう。)積もる雪のような花が咲く珍しい木を見て、昔からそのように呼ばれたようです。現在では「ナンジャモンジャノキ」と言えばこの「ヒトツバタゴ」を主に指すようになりました。
 
 私が絵にしたこの木は、原産国で生えていた生粋のヒトツバタゴだったのですね‥。こうなると絵のタイトルは間違ったものになりますが、そのままにしておきます。ナンジャモンジャ、この絵のタイトル同様に混迷しているところがピッタリだと思いませんか?
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