路地に待つ
路地に待つ
 北京の夏は暑い。北京市内の旅行会社へ列車のチケットを取りに行こうとバスに乗る。近くで降りたつもりが、残りを歩いてみると思ったより遠かったのと、その夏の暑さとで随分苦しめられた。
 
 歩いた下町の通りにはたくさんの狭い路地が続いていて、車の往来が少ないそこは子供たちの格好の遊び場になっていた。
 暑さと疲れにもうろうとしながら、次の角の路地へ視線を移す‥。
 親の帰りを待っているのか、待ち合わせた友だちが遅れているのか‥。蒸した夏の日差しを避けて、少年は独り退屈そうに時間をつぶしていた。北京の騒がしい通りから外れた人通りもまばらな路地で、少年の夏は続いている。
 『路地に待つ』  <中国/北京> 30×42p 2001.11
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