人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
メダル鋳造
No.142 わかり始めたコード(2) 2012. 7. 1

 例えば、銭形警部が国際会議の場で、カリオストロ公国による偽札作りを告発するシーン。
 国家間の政治的争いと大人の都合が入り乱れて、カリオストロの捜査は打ち切られてしまうのだが、官僚(?)たちのやり取りについて、私は長い間理解できてなかったようだ。なんとなく「難しい大人の話」としか感じず印象に残らない場面だったし、なぜ銭形警部の捜査が打ち切りなのか全く理解できていなかった。今になって見ると“より理解できる”そのやり取りは、とても印象的で新鮮に見えた。
 この場面は、お金や政治などの大人の思惑について知識を積んでない子供には、到底深く理解はできそうにない。
 それからルパンと次元が酒場での夕食後、カリオストロ公国内の宿屋でルパンが何やら火を使って細工をしているシーンも今なら解る。あれは指輪の複製品=にせものを作っているのだ。完成させたニセ指輪は、この後にルパンが使うので、このカットを入れることはストーリー上の伏線となっているわけだが、子供心には「何か泥棒道具の種を仕込んでいる場面」程度までにしか解らなかったし、後で出てくるニセ指輪との関連づけ(伏線の回収)はできていなかった。
 このニセ指輪作りのカットはわずかな時間しかないが、描写は非常に手が込んでいる。よく見ると、どうやらオリジナル(またはニセか?)指輪は半分が砂か粘土に埋まって固定されており、これから流し込む材料がこぼれない様に銀紙製らしき型枠で囲ってある。それからルパンの使う細工用の道具は複製作りに特化した非常にコンパクトで高性能なキットであることが伺える。また、複製した指輪内部にカラクリで仕込む“火薬”はピストルの弾丸(薬きょう内)から取り出して使用していることも解る。
 ルパンが小ルツボで加熱して注ぐ物質が不明だが、既に指輪(ニセか本物かは不確定)が砂に固定され、それがメス型ではないのを見ると、溶融金属を注ぐ鋳造段階ではないようだ。ではその前段階の鋳型(メス型)の上半分を作る場面かと考えたが、あれ程の高温材料で作る鋳型って何でしょう?もしや金型??金型制作ほどの高温に晒して大事な指輪(オリジナル)を痛めてしまう事などするはずないので、わりと高温の熱可塑性樹脂で鋳型を作っている‥と考えれば、まぁ納得できる。この場合、最終的にピューター等の低融点金属を流し込むとしても、鋳型にはせめて300℃程度の耐熱性は必要になるので、「熱可塑性超耐熱樹脂」を使用していることになる‥わけか。
 ※↑解り難いこと書いてます。すいません。
 
わかり始めたコード(3)へつづく 
 

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