人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
キオスク端末内部
No.138 一年一度の思いを込めて(4) 2011. 7.18

 キオスク端末の土台であるPC本体の用意がようやく叶ったところで、さて、次は箱・筐体(きょうたい)の制作だ。
 この箱こそが「単なるPC」を「キオスク端末」と周囲に認めさせる“装飾品”だと言えよう。筐体は中に納まるPCと使用者などの環境に合わせて、ベストな大きさ等をしつらえれば良い。
 まぁ、今回のデザインは費用面や用途から考えて、凝った形ではなくシンプルな四角い箱型で作ろうかと思う。
 〔箱くらい楽勝〕‥と言いたいところだが、屋内設置というハードルの低い条件でも不特定多数に触れられる端末であれば頑丈さは必要だし、モニター高さや、設置場所への収まり、現場状況やユーザービリティへの配慮、最終的なルックスの良さ、云々‥。
 いわゆる“デザイン”工程から実際の制作まで相応の時間を注ぎ込むことになった。ついでに、安い材料にしたものの筐体の材料費もかかったわけで(総額5000円くらいに抑えた)、出来上がった筐体を前に〔これ、3万円‥いやそれ以上は請求してもいいだろう‥〕と思う。
 
 筐体の用意ができたら、次はキオスク端末の“要”となるPCソフトの準備。内部のWindowsPCに任意の動作をさせ続けて、不具合が起きないようにしておけばキオスク端末は一応の完成だ。
 今回は外部からの操作ボタンを「PCの休止状態(スリープ)を解除できる」という1ボタンだけにし、休止から醒めている間(10分くらい)カメラ映像を使った表示を画面に映し続けるというもの。使用者のPC操作は無く、ただ映像を表示し続けるものなので、これは簡単に実現できそうだ(予想)。
 それから発熱による不意の再起動や、停電や誤って電源コードが抜けた場合などを想定して、OS起動から自動的にソフトが起動し、指定の再生モードへ自動移行するように策を講じておく。まぁ、これもそれほど難しくなさそうだ(予想)。
 〔ハード(PCと筐体)が完成したので、残る準備は、ソフト(軟らか)なものですな。〕と、軽口を叩くつもりだったが、アプリケーションの吟味、挙動の確認と調整、無知なスクリプトの記述、連続稼動の試験、云々‥。
 このソフト準備は想像以上に時間のかかる工程だった。世にあるゲームや携帯電話などの操作ソフトなど、デバッガと呼ばれるソフト上の不具合を見つけて修正する作業には多大な地味時間が費やされているわけで、その時間はソフトや端末機器の費用に含まれることは覚えておきたい。世間では“デジタル土方、IT土方”なんていう言葉があるくらいに、こういうソフト開発業務などは過酷な現場なのだ。
 この工程には全てフリーソフトを使っているので、筐体制作のような材料費発生は無いが、相当の時間を注ぎ込んだわけで、〔この工程だけでも3万円は請求できるだろう‥〕と思う。
 
一年一度の思いを込めて(5)へつづく 
 

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