人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
ディスプレイ
No.91 憧れのSWING GIRLS(1) 2006.10. 7

 用あって立ち寄った大型ショッピングセンターでフト楽器屋を覗いてみた。楽器屋なんて出入りすること滅多にない私だが、少し気になっていたものがあるのだ。
 まぁなんだ、映画「SWING GIRLS」を前にテレビで見た際に、主人公達がサックスなどの楽器を買うシーンで高くて手が出ないと諦めていた姿を思い出したのと、少しそういう楽器を演奏できたら楽しそうとか、映画に触発されてミーハーに興味を持っていた‥という至極単純な動機だ。
 「SWING GIRLS」は2年以上前に劇場公開された映画で、田舎に暮らす何のとりえも無い女子高生達が、あることをきっかけにジャズ演奏へと呑めりん込んでいく過程をおもしろおかしく描いた学園青春映画という内容だ。
 公開当時、TVのコマーシャル映像に惹かれてなんとなく気にはなっていたものの、お金に余裕は無く毎度のごとく普通に映画を見に行くのは諦めていた。‥もう少し別の言い方をすると千円以上使って一人で映画館鑑賞したい程には惹かれていなかったということだ。
 それから2年。「SWING GIRLS」のことなんて一度も思い出すことなく過ぎていたが、ある日の新聞テレビ欄を見ると放送されることを知り、テレビの小画面ながらも観る事が叶ったのだ。(映画はそうやってテレビ放送で観ることのがもっぱら多い)
 テレビで観た「SWING GIRLS」はとても楽しかった。女子高生の楽しくてひたむきな様子が全篇に描かれていて、観ているこちらを楽しい気分にさせてくれるいいものだった。『スウィングガールズ(アンド ア ボーイ)を演じる17名は、長期にわたる猛特訓を経て、劇場に響きわたるド迫力演奏をマスター。劇中で使用される楽曲はすべて出演者本人による演奏。』(映画イントロダクションより)、というわけで劇中演奏のリアリティはあったし、それをこなす彼女らの真剣さと演奏する喜びは画面を通じて伝わっていた。聴衆を沸かすような楽器を吹けず、同じ目標に集う仲間を身近に持たない今の自分としては、その登場人物達に嫉妬を覚えた程でもある。
 
 〔女の子ってどうしてあんなに楽しむのが上手なんだろう?自分が楽しみ下手・遊び下手であるだけなのかな?〕
 映画の中の楽しげな女の子と人を惹きつける楽器演奏に対し、映画から憧れに近い想いを触発され、私は楽器屋の前で立ち止まった。
 
憧れのSWING GIRLS(2)へつづく 
 

旅人彩図 『人生紀行』 前へ 目次 次へ