人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
No.11 私をどぶろく祭りに連れてって(1) 2003.10. 20

 「どぶろく祭り」という祭りがある。どぶろくを仕込んで神前に捧げ、出来上がったどぶろくを参拝者に振舞うという祭りだ。全国各地に同様の祭りがあり新聞などでも話題にもなる。(※どぶろくとは日本酒を作る過程における「もろみ」を濾過・殺菌しないままの白濁したお酒。未殺菌なので酵母が生きている。どぶろくを濾過・殺菌をすれば清酒となる。日本酒と同じく通常は米から作られる。)
 中部東海地方では合掌造りの集落で知られる岐阜県白川村のどぶろく祭りが有名だが、その同じどぶろく祭りが私の暮らす愛知県岡崎市にも存在することを知ったのは数年前のことだ。
 
 たしか何かの記事(新聞だったかもしれない)で見かけたのだが、岡崎にどぶろく祭りが存在するという事実が私にはひどく衝撃的で「ぜひ行きたい。そしてどぶろくを味わいたい!」という想いがいつしか募っていた。実はわたくし、根っからの酒好きなのです。
 しかし一年に一度の祭りで、毎年紙面を大きく飾るわけでもない岡崎のどぶろく祭りは次の年を迎えるころには私の頭からすっかり忘れ去られ、やがて何年も時間が過ぎてしまっていた。
 そして今年2003年。 この10月に大学時代からの友人と休日にどこかへ行こうという話しが持ち上がり、その計画を練ることとなった。
  まずは本屋の観光案内誌で近隣の見所などを探りながら、この秋のイベント情報を検索していると岐阜のどぶろく祭りがちょうどあるらしいことがわかった。そう!「どぶろく祭り‥。」まさにそのとき、眠っていた想いが記憶と共に目を醒ましたのだ。「岡崎のどぶろく祭り!」
 雑誌等にはほとんど取り上げられていない岡崎のそれなので、家に戻りインターネットを使って情報をたぐり寄せる。すると10月15日に岡崎の蔵欠町(くらなみちょう)熊野神社で開かれていることがわかった。(便利な世の中になりました。)
 岐阜のどぶろく祭りは友達と18日(土)に行くとして、まずは15日(水)に岡崎のどぶろく祭りで一人前哨戦である。友人も誘いたいところだが今年の10月15日は水曜日の平日。しかも規模は相当小さい祭りであることが予想され、メインのどぶろく(お酒)を飲むとなると車で向かえば問題が多い。最高に楽しそうなのに誘える相手が見つからず、しかたなく自転車での一人小旅行の始まりです。(飲酒後の自転車運転は交通違反ですが‥。)
 
私をどぶろく祭りに連れてって(2)へつづく
 

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