人生という日常の合間に見つけた平凡な感動や、過ぎ去る時間のぼんやり思惑。 人生紀行

 
No.6 額作りと秋の虫(1) 2003. 9. 4

 木工道具を床に広げて最近取り組んでいるのは額の試作品づくりだ。少し絵の数が出来上がってきたので、将来の個展や展示に向けて真剣に額のことも考える必要が出てきたのだ。
 額はお店でオーダーするつもりでいたのだが、値段を聞くとやはり高い。一つならまだしも10や20も一度にオーダーすると現在の収入では相当に厳しいので、自分で作ろうという発想になったのだが、とりあえず試作品を作り出してみるとこれがなかなか難しい。お店の額のようにきれいにできないのは当たり前としても、なによりも額を組み立てる以前に作業する場所がないのだ。
 現在の作業場は6畳程の自分の部屋。そこには自分の寝場所もあるので、電動円ノコなど木屑の飛散がひどい工具は使いたくない。
 夜などは騒音にも気をつかう必要がある普通の住宅街なので、電動円ノコの使用は昼間に家の軒下で行う。雨の日の円ノコ作業は厳しい。
 ある程度電ノコで加工したら部屋内での作業なのだが、空いているスペースは少なく作業台は置けないし、風通りが悪い部屋なので現在の夏の昼間は蒸し風呂のようで、大して体を動かさなくとも玉のように汗が噴き出ては滴り落ちて、床に置いた工具や材料を濡らす始末。
 
 広い作業場が欲しい!アノ木工工具が欲しい!エアコンも欲しい!やっぱり額はオーダーしよう!と思いつつも、それを借りる・購入するだけの余裕もなく、現状でできる範囲のことと創意工夫をすこしづづ積み上げて額を制作する。
 
額作りと秋の虫(2)へつづく
 

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